ログの保管と分析

サーバーのログには、誰がいつどこから参加し、何を話し、何をしたかが残ります。迷惑行為や障害を調べる手がかりになり、参加の状況の分析にも使えます。一方で、IP アドレスなどの個人に関わる情報も含まれます。
この資料では、ログに何が残るか、どれだけの期間どこに保管するか、どう分析に使うかを説明します。

ログの仕組みは、2026 年 10 月時点の Java 版 (26.3 のサーバーに含まれる設定)、Paper と Velocity のソースコードとドキュメント、価格は 2026 年 10 月 27 日に確認したものです (米ドル、税別)。

  • この資料は、ログの扱いを技術的に解説したもので、法的な助言をするものではありません。個人情報の扱いが法律に合うかは、適用される法律と、参加する方のいる国・地域の法律に基づいて、弁護士に確認してください。

ログに残るもの

場所主に残るもの関わる設定
サーバーのログ参加と退出、プレイヤーの UUID と名前、IP アドレスとポート、チャット、実行したコマンド、エラー、TPS の低下の警告server.properties の log-ips(1.20.2 から、既定は記録する)、spigot.yml の commands.log(既定は記録する)
プロキシ (Velocity) のログ接続と切断、サーバーの間の移動、IP アドレス、実行したコマンド (設定したとき)log-player-connections(既定 true)、enable-player-address-logging(既定 true。false で IP アドレスを伏せる)、log-command-executions(既定 false)
CoreProtectブロックの変更、チェストの中身の出し入れ、チャット、コマンド、参加の記録新しく導入するときの既定は、組み込みのデータベース (DuckDB)
Plan参加の時間、人数の推移、接続元の国使っていない方のデータは 180 日、人数の推移は 3,650 日で消すのが既定
Cloudflare Spectrum本当の接続元の IP アドレス、接続と切断の時刻、転送量Logpush の spectrum_events(Cloudflare Spectrum での保護)

サーバーのログの行は、次のような形です (26.3 のサーバーに含まれる文字列から)。

[12:00:01] [User Authenticator #1/INFO]: UUID of player Steve is 069a79f4-…
[12:00:01] [Server thread/INFO]: Steve[/203.0.113.10:51234] logged in with entity id 123 at (0.5, 64.0, 0.5)
[12:00:01] [Server thread/INFO]: Steve joined the game
[12:30:45] [Server thread/INFO]: Steve lost connection: Disconnected

パスワードがログに残らないように

コマンドを記録する設定では、/msg の本文や、ログインのプラグインのパスワードを含むコマンドも残るおそれがあります。AuthMe Reloaded は、/login などのコマンドをログから除く仕組みを持っています。CoreProtect でコマンドを記録する場合は、除外の一覧で、パスワードを含むコマンドを記録しないようにします。

ログは自動では消えない

Java 版のサーバーは、ログを logs/latest.log に書き、日付が変わったときと起動したときに、logs/年-月-日-番号.log.gz に圧縮して切り替えます。Paper と Velocity も同じ形です。

このとき、古いログを消す設定は入っていません。そのため、ログはサーバーのディスクに、期間の制限なく溜まり続けます。個人に関わる情報を必要以上に長く持たないためにも、ディスクを圧迫しないためにも、保持の期間を自分で決めて消します。

  • ログの仕組み (Log4j) の設定ファイルを差し替え、決めた日数より古いログを消す設定 (Delete と IfLastModified) を加える。差し替えの方法は、Paper の公式のドキュメントには書かれていないため、検証用のサーバーで試してから使う
  • または、ログを外部の保管の場所に送ったあと、サーバーの側は短い期間で消す

保持の期間を決める

法律にログの保存の期間の決まりはありません。個人情報保護委員会は、保存の期間を決め、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消すよう努めることを求めています。IPA も、インシデントのときに過去にさかのぼって調べられるよう、組織の方針に合わせて保存の期間を検討するよう案内しています。

米国の NIST のログ管理の指針 (SP 800-92) は、システムの重要さに応じた目安として、低いもので 1〜2 週間、中程度で 1〜3 か月、高いもので 3〜12 か月を挙げています。ただし、この値をそのまま採用せず、組織で決めるようにとしています。

Minecraft のサーバーでの決め方の例です。KEY SELECT が設計で使う考え方の例で、実際の期間は、企画の内容と、プライバシーポリシーで示す内容に合わせて決めます。

ログ保持の例理由
サーバーとプロキシのログ3 か月迷惑行為の通報や、障害の調査がさかのぼれる期間
CoreProtect の記録30〜90 日荒らしの巻き戻しに使う。古い記録は /co purge で消す
企画の当日の記録企画の終了から一定の期間問い合わせや、動画の確認に対応できる期間
集計した数字 (人数の推移など)長期個人を特定しない形にしてから残す

保管の場所と費用

Amazon S3

$0.025/ GB / 月

東京のリージョンの Standard。圧縮したログを置き、古いものは Glacier などの安い保管に自動で移せます。

Amazon CloudWatch Logs

$0.76/ GB

東京のリージョンの取り込みの料金 (Infrequent Access は $0.38)。保管は 1 GB あたり月 $0.033 です。既定では無期限に保管されるため、保持の期間を設定します。

Grafana Cloud

無料月 50 GB まで

保管は 14 日。検索と、監視のグラフとの組み合わせに向いています。

Grafana Loki

無料自分で動かす

既定の保持の期間は 0 (無期限) です。Compactor で保持の期間を設定します (24 時間以上)。

改ざんを防ぐ

迷惑行為や乗っ取りの調査で、ログを証拠として使うことがあります。サーバーが乗っ取られたときに、攻撃者がログを消すこともあります。重要なログは、サーバーとは別の場所に、消せない形で送ります。Amazon S3 の Object Lock のコンプライアンスモードでは、決めた期間、管理者を含めて誰も消したり書き換えたりできません。

分析に使う

参加と退出のログ、Plan、Cloudflare Spectrum のログを組み合わせると、次のことが分かります。

  • 同時に参加している人数の推移と、ピークの時間帯
  • 1 回の参加の長さと、また参加してくれる方の割合
  • 企画の告知や配信のあとに、どれだけ参加が増えたか
  • TPS が下がった時刻と、そのときの人数や出来事の照らし合わせ (監視とメトリクス)
  • 通報や乗っ取りの調査: 誰が、いつ、どこから参加し、何をしたか
道具使い方
Planプラグインの Web の画面で、参加の状況をそのまま見られる
Grafana LokiLogQL でログを検索し、参加の数などをグラフにする
Amazon AthenaS3 に置いたログを SQL で集計する。読み込んだデータ 1 TB あたり $5
CoreProtectブロックの変更を、場所、人、時間で調べ、巻き戻す

分析には、個人を特定する必要のないものが多くあります。人数の推移などは、名前や IP アドレスを除いて集計した形で残します。

個人の情報としての扱い

  • Minecraft の名前や ID: 個人情報保護委員会の Q&A は、オンラインゲームのニックネームや ID は、通常は特定の個人を識別できないため個人情報に当たらないとしています。ただし、ほかの情報と簡単に照らし合わせて個人を特定できる場合 (Discord や YouTube との連携、応募のときの名前など) は、個人情報に当たり得ます
  • 個人関連情報: 個人情報に当たらない場合でも、端末の識別子やサービスの利用の履歴は、個人関連情報に当たることがあります。2026 年に成立した改正法では、オンラインのサービスのアカウントの ID が、新しい区分 (連絡可能個人関連情報) の例に挙がっています (施行の前)
  • IP アドレス: 個人情報に当たるかを直接扱った委員会の記載は見つかりませんでした。EU の裁判所は、運営者が追加の情報で利用者を特定できる場合、IP アドレスは個人データに当たると判断しています (2016 年、Breyer 事件)。海外の方が参加するサーバーでは、その国の法律も関わります
  • プライバシーポリシー: 何を記録し、何に使い、どれだけの期間保管し、誰に預けるか (クラウドや Cloudflare など) を示します (参加者の個人情報の扱い)

IP アドレスは、荒らしや乗っ取り、サブアカウントでの BAN の回避などを調べ、対策するために必要です。log-ips と Velocity の enable-player-address-logging は既定のまま (記録する) にし、決めた期間を過ぎたら消します。

参考にした資料

ログの保管と分析の仕組みづくりは、KEY SELECT に

ログの保持の期間の決め方、保管の場所と費用、改ざんを防ぐ保管、分析のダッシュボード、プライバシーポリシーへの記載の整理まで、KEY SELECT がお引き受けできます。

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