対象は Java 版のサーバーです。事実と日付は、各ソフトウェアの公式の発表と、ページの最後に挙げた資料によります (2026 年 10 月時点)。
理由 1: ワールドの計算は 1 つのスレッドで動く
Minecraft のサーバーは、ブロック、モブ、レッドストーン回路、プレイヤーの動きを、1 秒に 20 回のティックでまとめて計算しています。1 秒に 20 回を保つには、1 回のティックを 50 ミリ秒以内に終える必要があります。
このワールドの計算は、ほぼすべてがメインのスレッド「Server thread」1 つで動きます。オーバーワールド、ネザー、ジ・エンドも、同じスレッドで順番に計算します。そのため、CPU のコアを増やしても、ワールドの計算は速くなりません。
人数が増えると、読み込まれるチャンクと、その中のモブやエンティティが増え、1 回のティックの計算が 50 ミリ秒に近づきます。超えると、ワールド全体の動きが遅れます。Web のサイトのように、サーバーを足せばそのまま大勢をさばける作りではありません。
仕組みは、図を使ってティックとスレッドの仕組みで詳しく説明しています。
理由 2: サーバーのソフトウェアはコミュニティが開発している
Mojang が配布している公式のサーバーには、プラグインを入れる仕組み (API) がありません。2012 年に Mojang は、Bukkit の中心の開発者を雇い、新しいサーバーの API を作ると発表しましたが、その API は公開されないままです。
そのため、大人数のサーバーで使われている Paper (PaperMC)、Velocity、Folia、Mod の基盤の Fabric や NeoForge などは、すべてコミュニティの有志が開発しているオープンソースのソフトウェアです。性能も機能も公式のサーバーより優れていますが、企業の製品とは前提が異なります。
| 項目 | 企業の | コミュニティの |
|---|---|---|
| 問い合わせ | サポートの窓口と、対応の期限がある | GitHub の Issue や Discord で報告し、有志の対応を待つ |
| 新しいバージョン | 提供の予定が示される | Minecraft の更新のたびに、各ソフトウェアの対応を待つ。対応の時期は人手しだい |
| 続くかどうか | 終了の時期が事前に告知される | 開発者が抜けると、分裂したり終了したりする |
| 組み合わせの確認 | 提供元が動作を確認する | サーバー、プラグイン、Mod の組み合わせは、運営する側が確かめる |
分裂と終了が繰り返されてきた
コミュニティのソフトウェアは、開発の方針の違いや、ライセンス、人手の問題で、分裂 (フォーク) と終了を繰り返してきました。代表的な出来事です。
Bukkit の開発の終了と、DMCA の通知
Bukkit の開発の終了が発表され、翌月には開発者の 1 人が、CraftBukkit などの配布の停止を求める DMCA の通知を出しました。Spigot は今も、完成したファイルを配布せず、各自が BuildTools で組み立てる形をとっています。
Forge のチームのほぼ全員が NeoForge へ
Mod の基盤の Forge で、開発者のほぼ全員が新しいプロジェクト NeoForge に移りました。どちらの基盤に対応するかは、Mod ごとに分かれています。
Waterfall の終了
PaperMC は、プロキシの Waterfall の開発を続ける人手を確保できないとして終了を発表し、Velocity への移行を勧めました。
Paper が Spigot から完全に独立
Paper は 1.21.4 から Spigot の変更に追従しないことを発表しました。Paper から Spigot に戻せなくなるおそれがあると案内しています。
人手の不足の表明
Quilt は、保守がほぼ 1 人の開発者に頼っているとして、一部のライブラリの提供を終えました。NeoForge も、Minecraft の更新の頻度が上がり、保守する人手がこれまで以上に足りないと書いています。
経緯は、サーバーのソフトウェアと開発の歴史で詳しく説明しています。
配布の仕組みも有志に頼っている
Mod とプラグインの多くは、作者が個人で、配布サイトや GitHub で公開しています。2023 年 6 月には、配布サイトの作者のアカウントが乗っ取られ、人気の Mod とプラグインの更新にマルウェアが仕込まれる事案 (fractureiser) が起きました。このときの調査と対応も、コミュニティの有志が中心になって行っています。
非公式の再配布のサイトも多く、古いバージョンや改変されたバージョンが出回っています。参加する方の PC を守る方法は、Mod とクライアントの安全で説明しています。
運営で備えること
2 つの理由を踏まえると、大人数のサーバーの運営には、次の備えが必要です。
- 計測: 重さの原因を、spark などで計測して特定する。人数を増やす前に、同じ規模で試す
- 構成: 1 台の性能に頼らず、役割ごとにサーバーを分ける
- 選定: ソフトウェア、プラグイン、Mod を、開発が続いているか、新しいバージョンへの対応が早いかで選ぶ
- 一覧: 使っているソフトウェア、プラグイン、Mod とそのバージョン、入手元を一覧にする
- 検証: 更新は検証用のサーバーで確かめてから反映する。元に戻せるよう、バックアップを取る
- 追従: 各ソフトウェアの発表を確認し、終了や分裂に早めに対応する
参考にした資料
- Minecraft team strengthened (Mojang、2012 年 2 月、Internet Archive)
- 2014-09-05 CraftBukkit (GitHub の DMCA の記録)
- BuildTools (SpigotMC)
- The NeoForged project (NeoForged、2023 年 7 月)
- Announcing the end of life of Waterfall (PaperMC、2024 年 3 月)
- The future of Paper - Hard fork (PaperMC、2024 年 12 月)
- Quilt のお知らせ (2026 年 2 月)
- NeoForge 26.1 (NeoForged、2026 年 3 月)
- fractureiser (GitHub)
Minecraft サーバーの構築と運営は、KEY SELECT に
構成の設計から、ソフトウェアとプラグインの選定、計測、企画の当日の監視、更新の追従まで、KEY SELECT がお引き受けできます。今のサーバーの見直しからご相談いただけます。
- 記事や技術資料の内容についてのご質問とサポートは、保守・サポートのご契約、またはスポットでのご契約をいただいたうえでお受けしています。無償でのサポートは行っておりません。
- 記事や技術資料の内容は、公開の時点の情報にもとづいて作成しています。内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、内容にもとづいて行った作業の結果について、弊社は責任を負いかねます。設定や変更は、ご自身の責任で、検証用の環境で確かめてから行ってください。
- 記事や技術資料の内容について、ご指摘や誤りにお気づきの点がありましたら、その他のお問い合わせからお知らせください。
- 技術資料の内容は、引用元として資料の名前と URL を明記していただければ、ご自身の動画や資料としてご利用いただけます。全文の Web サイトでの引用はご遠慮ください。