サーバーのソフトウェアと開発の歴史

大人数の Minecraft のサーバーで使われているソフトウェアは、どれもコミュニティの有志が開発しているオープンソースです。
開発の方針やライセンス、人手の問題で、フォーク (分裂) と終了を繰り返してきました。この資料では、主なソフトウェアと、その成り立ちを説明します。

日付と経緯は、各プロジェクトの公式の発表と GitHub の記録によります。公式の記録がない古い出来事は、コミュニティの開発者 Madeline Miller の「A Decade of Survival Multiplayer」を参考にしています (2026 年 10 月時点)。

主なソフトウェア

名前種類特徴ソースコード
Paperサーバープラグインで作るサーバーの定番。PaperMC が開発。性能を大きく高め、プラグインの仕組みを広げている。計測の spark を同梱。2024 年 12 月から Spigot に追従しない独自の開発GitHub
SpigotサーバーBukkit のプラグインを使えるサーバー。完成したファイルは配布せず、BuildTools で各自が組み立てるBuildTools
PurpurサーバーPaper のフォーク。ゲームの動きを細かく変えられる設定を増やしているGitHub
FoliaサーバーPaperMC による Paper のフォーク。ワールドをリージョンに分けて並列に計算する。多くのプラグインは動かないGitHub
MultiPaperサーバー複数のサーバーで 1 つのワールドを分担する。公開ベータで、基にしているバージョン (1.20.1) が古い。最後の更新は 2025 年 5 月GitHub
ShreddedPaperサーバーMultiPaper と同じ開発元。1 台のサーバーの中で、複数のスレッドが 1 つのワールドを分担する。公開ベータで、26.3 に対応。Folia に対応したプラグインは、多くの場合そのまま動くとしているGitHub
CanvasサーバーFolia のフォーク。ゲームの動きの食い違いや不具合を直しているGitHub
Velocityプロキシ複数のサーバーを 1 つの接続先にまとめる。PaperMC が開発。現在の標準GitHub
BungeeCordプロキシ最初の広く使われたプロキシ。Spigot の開発者が開発GitHub
WaterfallプロキシBungeeCord のフォーク。2024 年 3 月に開発を終了GitHub
FabricMod の基盤軽量の Mod の基盤。新しいバージョンへの対応が早いGitHub
NeoForgeMod の基盤2023 年 7 月に Forge から分かれた Mod の基盤GitHub
ForgeMod の基盤長く使われてきた Mod の基盤。分裂のあとも更新が続いているGitHub
Geyser・Floodgate統合版の参加統合版 (Bedrock) から Java 版のサーバーに参加できるようにするGitHub
spark計測サーバーの処理の時間を計測する。Paper に同梱GitHub

プラグインはサーバーにだけ入れるため、参加する方は何も入れずにプレイできます。Mod はゲームの内容そのものを大きく変えられる一方で、多くの場合、参加する方のクライアントにも同じ Mod を入れる必要があります (Mod とクライアントの安全)。

PaperMC が開発・配布しているもの

PaperMC は、Paper、Velocity、Folia を開発し、公式サイト (papermc.io) で配布しているコミュニティの開発チームです。プラグインの配布サイト Hangar も運営しています。サーバーの Paper は、開発チームの名前から PaperMC とも呼ばれます。

PaperMC は、サーバー、プロキシ、配布サイトを、1 つのチームが開発している。
PaperMCコミュニティの開発チーム
Paperサーバー。プラグインで作るサーバーの定番
Velocityプロキシ。複数のサーバーを 1 つの接続先にまとめる
Foliaサーバー。ワールドをリージョンに分けて並列に計算する
HangarPaper と Velocity のプラグインの配布サイト

プロキシの Waterfall も PaperMC のプロジェクトでしたが、2024 年 3 月に開発を終了しました。

Paper は、プラグインで作るサーバーの大半で使われています。Paper をもとにしたフォーク (Purpur、Leaf など) を合わせると、約 9 割になります。Paper は 2024 年 12 月に Spigot への追従をやめたあとも開発が続き、2026 年 9 月には Java 版 26.3 に正式に対応しました。

プラグインで作るサーバーは、4 台のうち 3 台が Paper。
  1. Paper74.4%
  2. Purpur9.1%
  3. Spigot6.1%
  4. Leaf2.3%
  5. Folia0.7%

bStats の全体の統計 (2026 年 10 月 25 日、約 18.5 万台)。bStats を使うプラグインが入っているサーバーだけの数で、Fabric や NeoForge の Mod で作るサーバーは含みません。Purpur と Leaf は、Paper をもとにしたフォークです。

系譜

今使われているソフトウェアは、どれも以前のプロジェクトから分かれてできたものです。

サーバーのソフトウェアは、フォークで分かれて、受け継がれてきた。

サーバー

  • hMod2010
    • Bukkit・CraftBukkit20102014 年に終了
      • Spigot2012
        • Paper20142024 年に Spigot から独立
          • Purpur2019
            • MultiPaper複数のサーバーで分担。2025 年から更新なし
            • ShreddedPaper20241 台で複数のスレッドが分担
          • Folia2023リージョンで並列に計算
            • Canvas
            • Kaiiju2023 年に終了
          • Pufferfish最新のバージョンのブランチなし

プロキシ

  • BungeeCord2012
    • Waterfall20162024 年に終了
  • Velocity2018Waterfall の作者が新しく開発

Mod の基盤

  • ModLoader
    • Forge2011
      • NeoForge2023開発者のほぼ全員が移る
  • Fabric2018
    • Quilt20212026 年に一部を終了

ランチャー

  • MultiMC
    • PolyMC
      • Prism Launcher2022開発者たちが分かれる
大人数のサーバーや Mod で主に使われているもの開発が続いているもの開発を終えたもの

上が元のプロジェクト、その下の字下げしたものが、そこから分かれた (フォークした) プロジェクトです。年は始まった年です。Velocity はコードを引き継いだフォークではなく、Waterfall の作者が新しく作りました。Forge と PolyMC は、分裂のあとも開発が続いています。Pufferfish は、最新のバージョンのブランチがありません (2026 年 10 月時点)。

年表

hMod と Bukkit

9 月に、プラグインの仕組みを持つ最初のサーバーの改造 hMod が公開されました。開発が止まったため、12 月に有志が Bukkit の開発を始めます。Bukkit は、プラグインの仕組み (API) と、それを動かすサーバー CraftBukkit からなります。

Forge の始まり

Mod を入れる仕組みとして、ModLoader の後継の Forge が始まりました。

Mojang が Bukkit の開発者を雇用

Mojang は Bukkit の中心の開発者 4 人を雇い、新しいサーバーの API を作ると発表しました。互換性は保証しないとしており、Bukkit を公式にする計画ではありませんでした。この API は公開されていません。

Spigot と BungeeCord

md_5 が、CraftBukkit の性能を改良した Spigot と、複数のサーバーをまとめるプロキシ BungeeCord を始めました。

PaperSpigot (のちの Paper)

Spigot が外部からの改良を受け入れにくくなったとして、有志が PaperSpigot を始めました。のちに Paper に名前を変えます。

Bukkit の終了と DMCA の通知

8 月 21 日に Bukkit の開発の終了が発表されました。理由には、ライセンスのあいまいさや Minecraft 1.8 の変更が挙げられています。Mojang は 2012 年から Bukkit を所有していると表明しました。9 月 5 日には、開発者の 1 人が、自分のコードが許諾のない Mojang のコードと組み合わされているとして、CraftBukkit や Spigot などへの DMCA の通知を出しました。同じ時期に、別のプラグインの仕組み Sponge も始まっています。

BuildTools での配布

Spigot は、完成したファイルを配布せず、利用者が BuildTools で手元で組み立てる形にしました。Spigot は、これを DMCA の通知への法的な回避策と説明しています。Paper も、Mojang のサーバーを手元で取得して変更を加える形で配布しています。

Waterfall

BungeeCord の開発の進め方への不満から、フォークの Waterfall が始まりました。

Velocity と Fabric

7 月に、Waterfall の作者が、BungeeCord との互換性に縛られない新しいプロキシ Velocity を始めました。12 月には、軽量の Mod の基盤 Fabric が発表されました。

公式の難読化のマップの公開

Mojang は、ゲームのコードの名前を読み解くためのマップ (難読化のマップ) を公開しました。当初は参照に限るライセンスでしたが、2020 年 8 月に、開発に使ってよい (そのままの形での再配布は不可) という条件に改められ、Mod やサーバーの開発に使われるようになります。

Quilt

Fabric のフォークとして Quilt が発表されました。

Folia、fractureiser、NeoForge

2 月に Folia の開発が公開されました。6 月には配布サイトの作者のアカウントが乗っ取られ、Mod の更新にマルウェアが仕込まれる事案 (fractureiser) が起き、有志が調査しました。7 月には Forge の開発者のほぼ全員が NeoForge に移りました。Forge の資産は個人の会社が持っていたため、フォークするしかなかったと説明しています。

Waterfall の終了と Paper の独立

3 月に PaperMC は、開発を続ける人手を確保できないとして Waterfall を終了しました。12 月には、Paper が 1.21.4 から Spigot の変更に追従しないことを発表しました。理由として、Spigot との同期で更新が遅れることと、Spigot の開発が非公開で進むことを挙げています。

Mojang が難読化をやめると発表

Java 版のゲームのコードを読みにくくする難読化をやめると、Mojang が発表しました。2026 年 3 月の 26.1 が、難読化のない最初の正式なバージョンです。EULA は変わっていません。

人手の不足

2 月に Quilt は、保守がほぼ 1 人の開発者に頼っているとして、一部のライブラリの提供を終えました。3 月には NeoForge が、更新の頻度が上がり、保守する人手がこれまで以上に足りないと書いています。

選び方

大人数のサーバーでは、次の組み合わせが標準的です。

  • プラグインで作る企画: Paper と Velocity。プラグインは Paper への対応と、最新のバージョンへの対応の早さで選ぶ
  • 全員が散らばる大きなワールド: Folia を検討する。使うプラグインがすべて Folia に対応しているか、先に確かめる
  • Mod で作る企画: Fabric か NeoForge。使いたい Mod がどちらに対応しているかで決まる。参加する方のクライアントにも同じ Mod が必要になる

どのソフトウェアも、開発の状況は変わります。選ぶときは、GitHub の最後の更新の時期、最新の Minecraft への対応、Issue への反応、開発者の人数を確かめます。Waterfall のように終了したものや、Pufferfish のように最新のバージョンのブランチがないものは、新しく使うのを避けます。

参考にした資料

ソフトウェアとプラグインの選定は、KEY SELECT に

企画の内容と人数に合わせて、サーバーのソフトウェア、プロキシ、プラグイン、Mod の組み合わせを選び、開発の状況と更新の見通しまで確かめてご提案できます。

  • 記事や技術資料の内容についてのご質問とサポートは、保守・サポートのご契約、またはスポットでのご契約をいただいたうえでお受けしています。無償でのサポートは行っておりません。
  • 記事や技術資料の内容は、公開の時点の情報にもとづいて作成しています。内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、内容にもとづいて行った作業の結果について、弊社は責任を負いかねます。設定や変更は、ご自身の責任で、検証用の環境で確かめてから行ってください。
  • 記事や技術資料の内容について、ご指摘や誤りにお気づきの点がありましたら、その他のお問い合わせからお知らせください。
  • 技術資料の内容は、引用元として資料の名前と URL を明記していただければ、ご自身の動画や資料としてご利用いただけます。全文の Web サイトでの引用はご遠慮ください。

ご相談・お問い合わせ

内容が固まっていない段階からご相談いただけます。各分野のプロフェッショナルがご対応いたします。ご相談・お見積もりは無料です。